社員インタビュー
AIキャラクターという分野で
試行錯誤する楽しさ
LINEグループのAI責任者からrinna株式会社へジョインした中村浩樹。rinnaのPM(プロダクトマネージャー)の仕事の魅力は、まだ世の中に正解がないAIキャラクターという分野で試行錯誤を繰り返すことだと言います。

京都大学を卒業後、機械系メーカーにソフトウェアエンジニアとして入社。その後ヤフーで事業責任者などを担当したのち、LINEのAI事業のプロダクト企画を統括。2021年6月にrinnaにジョインし、全プロダクトを包括的にマネジメントしている。
これまでのキャリアを教えてください
大学では宇宙工学を専攻していました。ただ、その時にプログラミングの面白さにはまって、宇宙と全く関係のない機械系メーカーの情報システム部門にソフトウェアエンジニアとして就職しました。その会社では、Javaがメインでしたが、その時の上司にソフトウエアプログラミングの哲学と設計思想を叩き込まれました。ここで覚えたモノづくりに対するこだわりは、今でもサービスを企画したり問題解決をする上で、自分自身の根本的な考え方の基礎になっています。
その後、ヤフーが大阪で拠点を立ち上げるということで、ソフトウェアエンジニアとして入社しました。しかしながら、周りのエンジニアにあまりにも優秀な人が多かったため、自分自身で、開発ディレクター、企画、事業責任者とキャリアチェンジしていきました。ヤフーには6年ほどいましたが、最後に、新規事業としてIoT関連のサービスを担当していた際、Amazon Echoに出会いました。自らAIアシスタントを開発したいと思い、LINE社のCLOVAチームに移りました。
CLOVAチームでは、ディスプレイ付きのスマートスピーカーCLOVA DESK、トヨタさまと共同で音声アシスタントが統合した音声カーナビを担当した後、コールセンター向けAIなどB2Bも含めたAI事業のプロダクト企画を統括しました。LINEにいたのは3年ですが、AI関連の技術発展はとても早く、特に自然言語処理については、とても自然な会話ができるレベルにまで発展してきています。その技術にさらなる可能性を感じ、次のチャレンジとしてrinnaを選びました。
rinnaに入社した動機・実現したいことを聞かせてください
LINEで行っていた対話サービスは、AIアシスタントやコールセンターの電話応対など、人の生活を便利にしたり、人の業務を自動化するものです。これらにも大きな価値がありますし、これからもさらに成長していく分野だと思います。一方で、自然言語処理技術の発展を見ると、より自然な会話が実現できるようになったことで、決まったタスクを完了するだけでなく、人の悩みを聞いて励ましたり、または社会性を持った存在として人のコミュニケーションのハブになるなど、また違った大きな価値が生み出せる可能性が出てきたと思います。そのような思いを持ち始めたころ、ちょうどrinnaの方々とお話する機会を頂き、私がぼやっと思っていたことをよりクリア、より具体的に既に実行されていることを知り、ジョインさせていただきました。
rinnaはAIキャラクターを作る技術・製品サービスを開発をしている企業です。AIキャラクターの価値の1つの大きな特徴として、人が演じにくいキャラクターを柔軟に演じられる、という点が挙げられます。いくつか具体例を挙げながら説明します。
1つ目は、AIキャラクターは聞き上手であるという点です。聞き上手というのは、例えば、仕事の悩みや人間関係の悩み、また自分自身のセンシティブなことなど、人に言いにくいことでも、AIキャラクターは不必要な判断をすることなく、聞いてくれます。AIキャラクターなど、人以外の"顔"を持つ存在が自己開示を促せることは多くの研究で実証されています。AIキャラクターは、人の悩みを聞き、共感し、慰めたり励ましり、聞き上手な存在として、人の気持ちを和らげることができると考えています。
2つ目は、既読スルーしても傷つかないことです(笑)。例えば、友達がいるLINEグループでランチを誘う場面を想像してみてください。ある人が「ランチにいきませんか?」と言って、みんな既読なのに誰も反応しなかったら結構落ち込みますよね(私は何度かありますが 笑)。そんな時に、AIキャラクターが変わりにランチに一緒に行く人を募集してくれたらどうでしょうか。誰も反応しなくても誰も傷つかないですよね。これは日常のちょっとした例ですが、場の空気とリアクションが読めない場面で、最初に提案することを躊躇してしまうケースはよくあると思います。そんな時、AIキャラクターが代わりに発言することで、不必要に思いとどまったり、逆に発言して不用意に傷ついてしまうといったことを避けられます。
さらに発展すると、AIキャラクターはピエロになって場を盛り上げられます。例えば、会議でブレーンストーミングをしている際にシーンとなること、たまにありますよね。そのようなときにムードメーカーがいれば、少しラフなアイデアを出して、場の空気を壊してしゃべりやすい雰囲気をつくることができます。ただ、こういうことができる人は限られています。AIキャラクターは、まさにそのようなムードメーカー、もっとおどけたピエロに簡単になることができます。ちょっと話題からずれたアイデアを出してみたり、お題に関する絵を描いてみたり。それがおかしければおかしいほど"ツッコミ"から会話が始まります。この例のような、バーチャルな存在の発言をきっかけにして、人のコミュニケーションが活性化するというのは、研究によっても実証されています。
日本は、キャラクターという存在に慣れ親しんでいます。ゲームもキャラクターにあふれてますよね。ただ、今のキャラクターは人と自然にコミュニケーションをとることができません。このキャラクターがAI化することで、聞き上手で傷つかず、時にはピエロになる。AIキャラクターは社会の触媒として、人と人のコミュニケーションの在り方をアップデートできると確信しています。
B2Bでも、キャラクターには多くの可能性があります。例えば、ヘルスケア分野で、健康状態を上手にヒアリングする、ダイエットや禁煙などを続けるために励まして習慣化を促す、会社のコミュニケーションを活性化するといった活用が考えられます。他にも、PRをする存在として企業のまさに顔となって活動するAIキャラクターも出てくると思います。また、ゲームのワールドにAIキャラクターを大量に派遣して、ワールドを盛り上げるという役割も果たせそうです。
そのような世界を実現するために、rinnaは"全ての人や企業にAIキャラクターを"というミッションを掲げて実行しています。AIキャラクターには多くの可能性がありすぎて、会社としてどの順番で実現していくか迷うくらいですね(笑)
rinnaでは今どのような仕事を担当していますか?また、その仕事の魅力、難しさはどんなところですか?
rinnaは、キャラる (Chararu) というAIキャラクターのSNSサービスや、AIりんな などのB2Cプロダクト、企業様向けに提供している Rinna Character Platform (RCP) などのB2Bプロダクトを提供しています。私は、プロダクト全体のPM(プロダクトマネジメント)・企画リードをしています。
魅力でもあり難しいことは、世の中に正解がないことです。AIキャラクターの価値も、誰かが実証したものではなく、自分達で仮説を立てて試行錯誤を繰り返す必要があります。その中で方向を定めるため、社会の動き、技術の発展を理解することがまず重要です。そして、さらに最近意識していることは、AIキャラクターに関するリサーチを追うことです。コンピューターサイエンスの分野はリサーチチームがいますが、例えば、AIキャラクターやVirtual Being/Virtual Humanと呼ばれる存在が、人の行動や心理にどう影響を及ぼすのかといった内容は、自分で追っています。その内容から価値を創造し、価値がフィットするマーケットを仮説立て、プロダクトの企画をすることが多いです。そのプロセス自体はとても楽しいですね。
rinnaのカルチャーをどう感じていますか?
とにかく自由です。そしてフラットです。裁量もあります。PMという立場においては、ビジョンとパッション、そして実行力がある人にとっては、何の足かせもなく仕事ができる最高の環境だと思います。自由という点において、私は京都から働いていますが、出社したのは入社日だけです。それ以外はずっとリモートで働いています。コアタイムなどもありません。当然、非常に大きなビジョンを持っている会社のためハードワークですが、よくわからないことに時間を取られることがなく、非常にやりがいがあります。
さらに、大きなリサーチチームがいることもrinnaの特徴です。リサーチチームと一緒に仕事をすることで、最先端のAI技術を活用してプロダクトを作ることができます。発展のスピードが速いため、追いつくのは大変ですが、技術観点でも未知の領域に興味がある人にとっては、知的好奇心が休まる暇がないぐらい面白い環境だと思います。
rinnaでのキャリアで身につくこと、rinnaでしかできない経験はどんなことでしょうか?
一言で言うと考えて実行することですね。AIキャラクターというまだまだ不確実性が高く未知な領域に対して、自分の頭で考え、価値を定義し、それを具体化して世に問う、という全てのプロセスを体験することができます。
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