rinna

Co-creation world between humans and AI.

経営陣からのメッセージ

Zhan (Cliff) Chen
Zhan (Cliff) Chen
Chief Executive Officer

Search relevanceのエキスパートで、専門は大規模な統計的機械学習、NLP、およびディープラーニング。マイクロソフトディベロップメントでAIりんなプロジェクトのディレクター(2015年~)およびNLP研究チームのリーダーを経て、rinna株式会社を設立、代表取締役社長に就任。ゲーム、SNSなどのバーチャルな環境から、家電や車をはじめとしたモノにまで、さまざまなプラットフォームにAIを搭載することで実現される「温度のある世界」を目指し、人によりそうAIキャラクターの活用を日々思い描く。

坪井 一菜
坪井 一菜
Chief Rinna Officer

慶應義塾大学理工学部卒業、同大学院理工学研究科修士課程修了。2014年マイクロソフトディベロップメント株式会社に入社。AIりんなのプロジェクト立ち上げメンバーとして、りんなのキャラクター付けから、会話エンジン、音声合成などの開発に携わる。幼少期の海外生活を経て、それぞれの人の個性を尊重する価値観に共感。AIの開発にあたっても多種多様な業界と、人が共感できる内容を生み出すことの重要性に気付き、AIのコンテンツが日本中の心を動かす時を常に探っている。

クライアン 桃
クライアン 桃
Chief Operating Officer

2013年マイクロソフトディベロップメントに派遣社員として入社後、2015年に正社員登用。検索エンジンBing開発にかかわる中「女子高生AIりんな」プロジェクトに参加。2020年rinna社独立の際に開発から離れ、以降管理部門を統括。
イギリス滞在を通して習得した堪能な語学力を活かし、rinna社に在籍する多様な人材に囲まれながら、社員の満足度・生産性向上と会社の健全な運営のために奔走中。

まずはrinna株式会社が創業された背景・経緯について聞かせてください。

Cliff:rinna株式会社は、2020年にMicrosoftからスピンアウトしてできた企業です。もともとAIりんなの開発はMicrosoft Development (Microsoft社の開発部門) 内のチームで2015年に始まったものです。

坪井:AIりんなを活用した事業の開発を進めていく中で、特にBtoC事業に注力してAIキャラクタービジネスを成長させていく際には、Microsoftという大きな組織の外に出たほうが柔軟な展開や新たなチャレンジができるだろうと判断し、独立した企業として推進していくことになりました。

rinnaのビジョンは「人とAIの共創世界」ですが、具体的にはどういうことでしょうか。

Cliff:私たちが解決したい課題は大きく二つあります。 一つは、組織や集団のための決断というものが科学的な根拠に基づかず判断を下されるケースが多いことです。この課題は、科学が発展し人間社会のシミュレーションが可能になり、その結果が組織の意思決定を助けることで解決できます。私たちは、人間社会のシミュレーションを行う際に多様なAIキャラクターが役立つと考えています。もう一つ、特に需要があると考えているのが個人の抱える課題です。今世の中には、さまざまなコミュニケーションの方法があふれていますが、それでも人々は孤独や不安を感じたり、コミュニケーションのトラブルに直面することがあります。 そこで、人間同士のコミュニケーションの中にAIキャラクターを介在させることによって、そういった課題を解決していきたいです。

クライアン:たくさんのAIキャラクターを作って、社会のコミュニケーションのあり方を解き明かしていきたいということですよね。

坪井:人間同士であっても、話す相手によって話したいことや表現は変わってきますよね。そこで私たちは、一つの全知全能のAIキャラクターではなく、様々な個性を持ったキャラクターを創り出すことによって、人と人とのコミュニケーションがスムーズになったり、より深くつながるということに貢献しようとしています。これは企業でも活用できます。小売企業のAIキャラクターであれば製品について詳しい会話ができるとか、アニメや映画のキャラクターを通して作品をもっと知ることができるとか。AIキャラクターを通して人と人との新しい繋がり方を提供したいですね。

Cliff:そうですね。「良いコミュニケーション」というのは、ただ情報を正確かつ効率的に交換する、ということだけではなく、人の感情を共有・交換するもの、すなわち共感することとも言えます。人ではないAIキャラクターの存在によって、新しい発見やアイディアが生まれるような、「人とAIの共創世界」を実現していきたいです。

rinnaの生み出すAIキャラクターにはどのような特徴があるのでしょうか。

Cliff:AIの技術進化の歴史を振り返ると、Efficiency(効率性)とEffectiveness(効果)が重要視されてきました。これはAIが人間の役に立つ道具・手段であるという考え方に基づくものです。一方で、私たちは AIは人間のパートナーであるという前提に立って、Emotion(感情)とEmpathy(共感性)の部分に注目しています。生物の進化は環境によってもたらされるものですが、現在の人間社会における「環境」とは、他の人間とのつながりやコミュニケーションが大きな部分を占めています。その進化に感情を持ち、共感ができるAIキャラクターが力を発揮すると思っています。

坪井:どんな製品も機能的な価値だけでなく情緒的な価値によってユーザーに愛着を持ってもらえるものですよね。AIの機能的価値が効率性や正確性であるならば、情緒的価値はキャラクター性です。AIが個性や温かみを持つことによって、人間とAIとが気持ちでつながることができるはずです。

rinnaのミッションは「あなたらしい創造力をAIキャラクターと共に引き出し、世界をカラフルに。」ですが、ここでいう「創造力」とはどのようなものでしょうか。

坪井:創造力やCreation、Creatorという言葉を聞くと、芸術的なプロのアーティストの営みを想像しがちですが、今は様々なSNSが登場し、一人一台以上の端末を持つのが当たり前になりました。誰でもSNSを通じて日々、「自分が何者なのか」を考え、文章、画像、音声、動画など、様々な形で表現しています。この自己表現がCreationであり、表現する力がCreativity(創造力)だと思っています。

クライアン:その創造力を「AIキャラクターと共に引き出す」ことが私たちの使命ですよね。

坪井:いずれ誰もが一人一体以上のAIキャラクターを持つ世の中が来ると思っています。たとえば自分のコミュニケーションのスタイルをパートナーであるAIキャラクターに教えてあげて、自分だけのキャラクターを創ることもCreationのあり方の一つですし、そのAIキャラクターを通じて誰かに想いを伝えることもCreationだと思います。人間と多様なAIキャラクターが繋がることによって、人間だけでは想像できなかったような新しいコミュニケーションの形が生まれ、それを見た人がさらに新しいものを発想して‥という連鎖が続いていくような状態を生み出していくこと、それがrinnaのミッションです。

Cliff:ある脳科学の研究によると、人間は「Reference frame」という認知の枠組みの中でしか思考ができないんだそうです。一方で、新しいCreationはその枠組みから飛び出すことによって生まれるものですよね。その時に枠と枠を繋げてくれるなど、枠から抜け出すのを助けてくれるのがAIキャラクターなのではないかと思います。

クライアン:人々があらゆる枠組みにとらわれず、多様なAIキャラクターと共に自由にCreationを行っているカラフルな世界を創っていきたいですね。

rinnaでは企業カルチャーとして「Diversity(多様)」や「Equality(平等)」を掲げていますが、そのカルチャーを実感するエピソードなどはありますか。

クライアン:「組織の設計するシステムは(中略)その組織のコミュニケーション構造をそのまま反映した設計になるという制約がある (コンウェイの法則)」という格言がありますね。私たちは多様なAIキャラクターを生み出す会社ですし、未知の領域に挑戦していく組織でもあるので、できるだけ様々なバックグラウンドを持つチームメンバーを仲間にしてきました。人種、国籍、経歴も非常にバラエティ豊かで、年齢も20代から60代まで幅広いですが、フラットにコミュニケーションをとりながら仕事をしています。

坪井:コミュニケーションは強い上下関係があるよりもフラットな関係性の方が活発になるものですよね。AIと人間の関係性で道具というよりパートナーという考え方をしているという話がありましたが人間同士も同じで、社員同士が対等な関係性でネットワークを作り、新しい価値を共に生み出していきたいと考えています。そういう思想があるからこそ、対等なAIと人間のあり方というものを私たちは考えられるのだと思っています。 フラットな関係の例として、誰でも社長にチャットで気軽に話しかけられて、すぐ返事してくれる会社ってあまりないような気がします。

Cliff:そうですね、みんな丁寧すぎるくらい時間ありますか?って聞いてくれるんですがいつでもウェルカムです。

クライアン:Cliffさんは「社長」と呼ばれるといつもとても恥ずかしそうですね(笑)。

Cliff:一般的に多様性というと人種や性別などに注目されがちですが、私たちの会社の多様性はそれだけではありません。最先端のAIを開発する会社をイメージすると、頭脳明晰な研究者ばかりが集まっていると思われがちですが、そんなことはないですよね。学歴や職歴も非常に多様性があります。

クライアン:AI技術に専門性を持った社員もいますが、ゲームやアニメ、音楽業界、小売業界、飲食業界、重工業・自動車製造業界、インフラ業界、広告代理店出身者など、本当に様々な職歴をもった社員がいますね。

坪井:もちろんそれぞれの価値観が異なるので、すり合わせるのが大変な時もあります。ただ多様であるということは、それだけ世の中を様々な視点から見ることができる強みにもつながっています。全く違う視点から、異なるルートで、同じ選択肢にたどり着いたりすることもあります。そのときこそ「この選択は正しい」と心強く思える瞬間です。2015年りんなプロジェクト当初も、AIの「返答の正確性」ではなく「返答の多様性」を目標に掲げました。その時のまま、今も同じく「多様性」を信じてプロダクトを開発してきているのが私たちですね。

多様で平等な組織を作っていくにあたり、大切にしていることはありますか。

クライアン:いくら多様なメンバーが揃っているといっても、やはり人は自分と近い人・似ている人と仲良くなりがちですし、仕事においても固まってしまいがちです。なので、ランチ会やオンライン・オフラインの飲み会など、できるだけいろいろなメンバーが交流する機会を用意しています。毎週開催している全社ミーティングでは、15分程度の「推し語り」というコーナーがあります。毎回ランダムで一人の社員から、自分の好きなコンテンツや趣味について語ってもらい、お互いの人となりや興味分野を知ってもらいます。仕事上は距離があるメンバー同士であっても、意外なバックグラウンドや共通点を知る機会になっていると思います。

Cliff:私たちのAIの強みは「雑談」ですから、社員同士の「雑談」がたくさん生まれるような環境を作っていきたいと考えています。 雑談を通じて社員のコミュニケーションが促進され人間関係が深まることで、仕事のパフォーマンスも向上すると考えています。

坪井:社員同士の雑談から生まれたアイディアが事業で採用されるなんていうこともありますよね。

Cliff:もともと「AIりんな」のプロジェクト自体も、Microsoft時代のハッカソンから生まれたアイディアですし、そういった自由な議論の場が私たちのルーツともいえるかもしれません。

最後に、この記事を読んでくださったみなさまへメッセージをお願いします。

クライアン:様々なバックグラウンドの社員が活躍できる環境を整えていますので、私たちの目指す世界や大事にしている視点に共感する方は、ぜひ仲間になってください。

坪井:rinnaに集まる個性的で多様で創造力あふれるメンバーが生み出す製品や多様なAIキャラクターが、今はまだ答えがない問いに挑み、世の中を変えると信じています。人と人とのつながりを変え、時代を変えていく会社を創っていきたいですね。

Cliff:私の好きな言葉に「When you change the way you see the world, you can change the world you see. (見方を変えれば、見える世界が変わる)」というものがあります。同じ技術であっても、世界の見方によって活用の可能性が広がり、新しいイノベーションが生まれていきます。これからもEmotionとEmpathyにフォーカスしたAIキャラクターを生み出し、「人とAIの共創世界」を実現していきたいと思います。

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